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ぶつぶつ呟いたり妄想を晒したり小説を載っけたりしてます。
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ここ三日間、夜中に目が覚めるんです。何故。
(べつにトイレとかそういうわけではない)

それと悟った。
ナチュラルホモを書くには、私にはまだ経験値が足りないのだと。
ラブラブしてるの書きたいなぁと思っても、キーボードを打ち始めるとただの仲良しな人達に…orz 羞恥心が勝って打てません、先生。恋愛小説を書いている人の偉大さを思い知った次第ですはい。結局のところ友情に一、二滴エッセンスを加えたような関係に落ち着くようですよ。

小話はリボーン。けどバレンタイン小話というよりは、ただのバレンタインネタ。
ネタ提供はセッタンタセッテの、2月14日の雲雀さんの行動より。
雲雀さんと綱吉くんです。
テレビ見ながらだらだら書いてたら、やたら長くなってたorz
(実は書きたいことが書けなかった!)(このダメ人間!)


 綱吉は放課後、昇降口玄関へと下りてから「あれ?」と首を傾げた。
(何か壮絶に違和感を感じる)
 確かに今日は男女ともに特別な意味を持つ日であり、それは綱吉も例外ではない。
 バレンタインデー。元々は270年頃ローマで殉教した、バレン何とかというお偉い人の記念日である。けれどそんな由来を現代人の殆どは気にもかけず、ただ思い人にチョコレートを贈る風習と化したこの日を、ほぼお祭り騒ぎとして迎えてしまっていた。
 お祭り騒ぎとはいっても、夏祭りのようにはいかないが。
 事実、綱吉は毎年この日を苦い気持ちで迎えていたのだ。
 友チョコやら義理チョコやら、格段にチョコを貰えやすくなっている現代であるが、だからこそチョコを貰えない男の子という存在は惨めな存在と成り得る。
 浮かれる教室内で一人身を縮こませて席に座り、来る筈もないチョコをそれでもそわそわしながら待っていたり。普段は反抗ばかりだがその日に限ってだけ、規則に従順な先生を密かに応援してしまったり。そして家に帰るとそんな息子の姿を見通した母親からの、いらない気遣いに溢れたバレンタインチョコがあったりと。
 とにかくモテない男にとってこれだけ惨めな日はないと、綱吉は実感していた。
 それでも去年からは憧れの女の子や、友達の女の子からチョコを貰えて(それが例え一風変わったというか、死の底を覗けるような毒入りだろうと)綱吉は例年の記録を乗り換え、人としての幸せを手にしている。
 そして今年もまたそんな人としての幸せを噛み締めながら、綱吉は昇降口玄関へと歩いたのだ。
 一年から三年までの下駄箱が並ぶ昇降口には、何らおかしなところはない。ならばこの違和感は何だろうと首を捻りつつ、綱吉の視線は一定に固定されていた。
 三年生の下駄箱に、黒くて丸い頭が一つ。靡く学ランの痩躯は、間違いようもなく。
「……ヒバリさんだ」
 並中風紀委員長、雲雀恭弥。
 その雲雀が三年の下駄箱の前で一つの靴箱の取っ手を掴むという行為を凝視してから、やっと綱吉は違和感の主に気付いた。
「そうか、ヒバリさんにも下駄箱ってあるんだ…」
 何か風紀専用、というか雲雀専用玄関みたいなものを想像していたけれど、無論そんなことは無かったのだ。
 そうか、ヒバリさんにも下駄箱が…と先刻と同じことを心の内でもう一度思いながら、綱吉は雲雀を見据える。あの雲雀と同じ空間で、靴を履き替えるなんて何だかもの凄く恐ろしい事のように思える。つまり、あれだ。隠そうと思えば雲雀恭弥の靴を隠せるというわけだ。なんて恐ろしい。
 と、思考が外れかけたところで、さらに綱吉は目を剥いた。だが目を剥くだけに留まらず、
「えええぇぇぇええ!?」
 正直な口は綱吉の心の代弁をして、声高に叫んだ。
 我に返って慌てて手で口を覆うものも、時既に遅し。
「………きみ」
「ひいっ、すみませんごめんなさい!俺は何も見てませんではさようならっ」
 何かを言われるその前に、綱吉はそのまま何も顧みずに自分の下駄箱に全力疾走しようとし。けれどどんな早業か、踵を返した綱吉の襟首が容赦なく後ろへ引かれた。
 そうして声だけは涼しげな声音が綱吉の上に降ってくる。
「待ちなよ」
 がくん、と膝が折れる。続いて潰れたカエルのような声が綱吉の喉から出るが、その原因を作った当人は幾分も気にしていないのがよくわかる声音でずるずると無情に綱吉を引きずりながら、やっぱり恐ろしいことを言う。
「丁度良い、手伝いなよ」
「ひ、ヒバリは、…ぐふっ」
 綱吉は雲雀が無遠慮に引きずるせいで首が絞まり、鯉のように口を開きながら成すがままに引きずられた。一応、綱吉の一生懸命な意思表示でパシパシと雲雀の腕を叩いたが、そんなことに意を返すほど生易しい相手ではない。
 雲雀は自分の下駄箱の前に止まると、乱暴に綱吉を離した。突然手を離された綱吉は体勢を整えられず、下駄箱の前に敷かれた木の板に尻をつけてしまう。
 そして自然とそこに落とされていたモノが視界に入り、綱吉は一瞬身体の動きを止めてしまった。だが我に返るなり、その落ちていた物を拾い上げてから、伺うようにして目前に立つ雲雀を見上げながら立ち上がる。
「……あの、ヒバリさん。これ」
 おずおずと手の平に乗ったそれを差し出すと、雲雀は一つ頷いてから綱吉の手からソレを受け取った。
「どうも」
「……いえ」
 気まずい。いや雲雀と対面していて気まずくならなかった事など無いのだが、今回はまたいつもと違う気まずさだ。
 綱吉は顔を俯かせながら、そろりと雲雀と書かれた下駄箱の中を覗く。そこに見えるのは見間違いようもない、綺麗にラッピングされた沢山のチョコが小さな箱の中で窮屈そうに詰まっていた。
 雲雀はそのチョコを淡々と自分の鞄の中へと仕舞い込んでいく。
「ヒバリさんって、モテるんですね…」
 気まずさからの解放と感嘆を込めてポツリと言葉を零すと、チョコを掴んでは鞄へと放り込んでいた手が止まり、鋭い切れ長の目が綱吉に止まった。
「…………」
 訪れた沈黙に、綱吉の上に気まずさが倍になって落ちてくる。
 そうしてしっかり十秒の間をとって、
「それはどうかな」
 と、実に雲雀らしくない答えが返ってきた。
 綱吉が驚いて顔をぱっと上げると、雲雀は既に止めていた手をまた動かして下駄箱からチョコを取り出す作業に戻っている。綱吉はその秀麗な横顔を見ながら、小首を傾げた。
 男の綱吉から見ても雲雀の顔は綺麗だと思えるもので、実際女子にモテていても何ら不思議ではない。顔良し、運動神経良し、頭…は知らないけれど多分悪くない(と思われる)。あの「咬み殺す」さえ無ければ、綱吉の友人たち同様にかなりモテていたのでは無いだろうか。
 そんなことを思いながら、綱吉はふと気になった事を尋ねた。
「お返しってするんですか?」
 何気ない質問であっただろうに、雲雀はその切れ長の瞳で綱吉を一瞥してから手にしたチョコの包みを綱吉に放り投げてきた。慌てて受け取った綱吉は何のつもりかと雲雀を仰ぐ。
 すると綱吉の視線の意味を察した雲雀は小さく溜息を吐いてから、綱吉の持つチョコの包みを解いて見せた。
「君はそれでお返しができると思う?」
「え?……あ、あれ??」
「名前が無いんじゃね。まあどのみちお返しなんてしやしないけど」
 雲雀の言う通り、綱吉の手の中にあるチョコにはどこにもその差出人が書かれていない。確認を込めてチョコの入った箱を視線の上に持ち上げて箱下にそれらしきものが無いか見て見たが、やはり無い。
「ぜ、全部そうなんですか?」
「多分ね」
 まだ確認していないから分からないけれど、毎年そうだからと答える雲雀の顔を、今度こそ綱吉は凝視した。
(こ、これはまさか好きというより……畏怖? 厄災が来ないようにお供えものを、とか?)
 若しくは直接渡したり名前を明記してしまうと後で咬み殺されるとでも?…ああ、そうかもしれない。
 綱吉が困窮する中で導き出した答えに頷いていると、ふと雲雀を日頃から心酔しているリーゼントの姿が脳裏に浮かんだ。綱吉は知らず顔が引きつる。そして浮かんだおぞましい考えを慌てて吹き消そうとして、嫌々と否定の意味を込めて首を振った。
「あの!ヒバリさん。それで手伝うことって何ですか」
 あからさまに調子を変えようと明るく言った綱吉に、雲雀は何も言わずチョコが詰められた鞄を綱吉に放った。ずし、と胸に来る重みに驚きながら綱吉は訝しむ視線を雲雀に送る。
「あの…?」
「それを応接室まで運んで」
 端的に命じられた言葉に、綱吉は息を吐き出した。
「荷物持ち、ですか?」
 それならサッサと終わらせてサッサと帰ることができる。
 しかしホッと安堵したのも束の間で、雲雀の口からサラリと恐ろしい単語が告げられた。
「何言ってるの。君の仕事は毒味だよ」
「どっ――はいぃっ!?」
 綱吉はこの時、三㎝ほど飛び上がった。
 だけど我の道を行く雲雀は綱吉の動揺など構わず、自分の下駄箱の戸を閉めて颯爽と踵を返した。綱吉はその後を慌てて続く。
「ちょっ、ヒバリさん!毒味ってどういうことですか!」
 一歩後ろを早歩きで歩きながら、綱吉は目前で学ランをなびかせる相手にせっついた。
「その鞄の中に入っている全部のチョコを一口ずつあげるってことだよ。いいじゃない、君、どうせ禄に貰っていないだろう」
 振り向きもせずに帰ってきた返事に、綱吉は一瞬喉を詰まらせる。けれど雲雀の足が階段に差し掛かってから、嫌、と声を奮い立たせた。
「そういうことじゃなくってですね、何で毒味なんてするんですか!」
「必要だから」
 今度はひどく端的に答えが返る。
 は?と口を半開きに眉を顰めて、階段の中央より先の階段に足を掛けた雲雀の顔を仰ぎ見た。
「偶にいるんだよ、こういう時に仕返しをしようっていう輩が」
 不機嫌そうに紡がれた言葉に、綱吉は押し黙った。
 確かに日頃の恨みを晴らそうと考えるには、絶好なチャンスなのかもしれない。常日頃、雲雀によって理不尽に粛正されている者たちの中にはそう考える者もいなくはないだろう。しかし。
「いくら何でも…」
 綱吉の周りには「普通」の範囲から飛び出た者ばかりだが、普通の中学生は思ってもそんなことはしない、と綱吉は思う。しても、ちょっとした罰ゲーム感覚の悪戯くらいだろう。まあ、それもある意味毒味をする理由となるかもしれないが。
 と、そんなことを考える綱吉の思案を断罪するように、雲雀の抑揚のない声が降る。
「去年は食べたチョコが爆発して草壁の胃は破裂したよ」
「ちょっ、え、えぇぇぇえ!?」
 綱吉の認識は甘かった。
 悪戯なんて可愛いものじゃない。殺す気だ。というか、去年の毒味係は草壁さんだったのか。
 思わず青ざめて顔を瞠目させる綱吉を他所に、雲雀は落ち着いたまま首を縦に頷く。
「だから、君が必要なんだよ」
 多分、今の言葉を別の場面で言われたなら、綱吉は胸を弾ませたかもしれない。
 だけど、今は。
「ひ、ひば、ヒバリさん……」
 己の意志とは関係なく、しかし本能を察して綱吉の瞳に涙が浮かび上がった。
 ゆるゆると揺れる視界の中で、初めて雲雀が綱吉を振り返る。それにほんの少しの期待を込めて見つめる綱吉に対して、しかしあくまで目前に立つその人は雲雀であることを突き通した。
「救急車は呼んであげるよ」


「あの、ちなみに食べないっていう選択は…?」
「ない。せっかく貰ったんだから、食べないと勿体ないだろう」
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Author:津川宥
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