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身体のどこかが不調だと気分まで悪くなるよねー(はあぁぁ)
リボーン妄想。ああいうのって、書いてから「やっぱ書かなきゃよかったー!」って後悔きますよね。今更消すのもあれだし記念?だから残しておくけどね!(フフン)続きのリボーン妄想は明日に書きます。
てかサイト更新用の小説を下書き感覚でまずブログに書いちゃおうかな。少しずつ書いていって、溜まったらサイトにアップとかでよくね?
今日の小話は相互先の甲斐さんちのオリキャラです。
ごめんなさい。謝りますが、後悔はしてません。
甲斐さんちのトップ絵を見てあまりのあれに悶えた結果なのです。この兄妹好きだ!さあ、気になるあなたはこちらから!
→ 甲斐さん宅へ
訪ねるのでしたら、ご迷惑のないようにお願いしますね。
最終的に「ハロウィン関係なくね?」みたいな感じだけど、まあ良し!(よくない)
++++
微睡みかけていた意識を浮上させたのは、小さなノック音だった。
レインは腕の中に埋もれかけていた鎌首をもたげ、ノック音の響いたドアを振り返った。どうぞ、と声を掛けようとして、しかしどこからか入り込んだ夜風の冷たさに思わず言葉を飲み込んでしまう。
風を追うように振り返ると、窓が開いていた。彼は小さく溜息を吐くなり、椅子を引いて立ち上がった。そのまま夜風を向かい入れる窓枠に手を置いて風の出入り口を閉ざしてしまう。
窓の奥へと視線を投げると既に黄昏時も過ぎていたらしく、辺りを宵闇がせまっていた。
夕暮れの明かりも窓から差し込まれずに、部屋の光源は机の上に点いたランプ一点のみ。薄闇が満たす部屋の中で、レインはひんやりとした風を感じた。窓は閉めたというのに、おかしなものだと不思議に思う。
そこへいつまで経っても部屋の主からの了承を得られないことに気を揉んだのか、ノック音を響かせていたドアが唐突にぱっと開いた。
「お兄様!」
そうして躍り出てきた人物に、レインは不覚にも目を見張る。
「……マリナ?」
「はい!」
にっこりと、満面の笑みを顔に浮かべる少女は紛れもなくレインの妹だった。
しかしそれを認めるには、少女は少し突飛な格好をしていた。赤系統でまとめられたドレスはともかく、少女の小さな頭部をすっぽりと覆ってしまうほど大きな三角帽子は少々不格好で、下手すれば少女の顔すら隠してしまいがちだ。
第一にして、どうして屋敷の中で帽子を被っているのだろう。
何とも言い難い沈黙を落とすレインであるが、少女は兄の戸惑いを微塵も察していない様子だった。部屋の薄暗さに気後れした様子もなく、軽く飛び跳ねるようにしてレインの元まで近づいてくる。その拍子にドレスと合わせた藤色の三角帽子の先がぽんぽんと愉快に跳ねた。さらに帽子の先から広がる金色の髪が、まるで開かれたドアから伸びる光の尾のように続く。
「お兄様! あのね、あのね」
興奮したように頬を染めた妹の様子に、レインは尋ねるように小さく首を傾げた。
少女はふふっと小さく笑った。そして。
「Trick or treat!」
まるで菓子をねだるかのように、レインの前に小さな両手を差し出した。
レインは色の違う両の目を瞬く。そしておもむろに頭の引き出しから目当ての単語を探り当てては、ああ成る程、と内心で頷いた。
(ハロウィン――か)
気づいてみれば今日は10月31日。秋も既に終わりである。どうりでここ最近の風は冷たいし、日の落ちる時間も早かったわけだ。
しかし期待で溢れた少女の瞳と目が合うなり、レインは絶句した。
『お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ』
少女はそう言ったのである。
レインは少女から目を離さずに己のポケットを探ってみたが、勿論そこに少女が喜びそうなものはなかった。かと云って自室として使っているこの部屋にも残念ながら、無い。
少女は相変わらずニコニコと笑っている。
――一般的に、「Trick or treat」に求められる答えは二つである。菓子か、悪戯か。
この笑顔はどちらだろうかとレインは見定めるように見据えた。もし少女が悪戯を求めているのならば、応えてやるのが兄だろう。悪戯といっても相手は箱入りの娘。些細なものにちがいない。しかし少女が求めているのが菓子ならば、残念ながら今のレインではその期待を裏切ってしまう。
それは嫌だな、とレインは柳眉を顰めた。少女の格好――今でこそ魔女の仮装だと分かる――を見るに、彼女はハロウィンを楽しみにしていたのだろう。それを自分が一時でも崩してしまうと思うと偲びない。
どうしようかと案を練るレインの耳が、クスクスと小さな笑い声を拾った。気が付くと、少女が忍び笑いを零していた。
レインの視線に気づいた少女がニッコリと笑った。
「時間切れよ、お兄様」
「時間切れ?」
「そう!」
楽しくて堪らないと云った表情で頷きながら、少女はレインの腕を取った。そのまま少女が現れたドアの方へと歩き出す。
ぐいぐいと引かれるままに歩きだすレインは、少女のその様子に小さく苦笑した。
「ひどいな。時間制限なんてあったのか」
「そうよ。ふふっ、でもひどくなんてないわ」
「どうして?」
丁度ドアの境目で、少女はレインの腕を放した。
立ち止まるレインに気を留めることなく、少女はドアの境を飛び越える。薄闇の部屋の中からだと、ドアの向こうはひどく明るかった。レインは目を細める。
光の中で少女が振り返った。
藤色のドレスと金の髪を大きくなびかせて、大きな三角帽子を押さえながら。
薄い唇が弧を描く。
「だって私は魔女だもの」
金の目が妖しく光った。
レインは一瞬呆け、それから彼もまたドアの境をゆっくりと越える。薄暗い部屋を抜けた先には、温かい光が彼を迎い入れた。廊下にはカボチャをくり貫いて作られたジャックランタンが転々と置かれている。よくこれだけの数を用意したものだと、呆れ半分感心半ばに思う。
「魔女は普通、人の願いを叶えるものだが」
片膝を折って跪くと、今度はレインが少女を見上げる番になった。
きょとんと見下ろしてくる少女の小さな手を取りながら、レインはゆっくりと微笑みを落とす。
「僭越ながら、今宵は私が小さき魔女の願いを叶えてみせましょう」