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ぶつぶつ呟いたり妄想を晒したり小説を載っけたりしてます。
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夢の中の私には好きな人がいたんですけど、その人の名前が思い出せなかったんです。
名前で呼びたいのに、呼べない。なんとかしてさり気なく聞きだそうとかしたのですが、失敗に終わりました。雲雀さんの名前が呼びたいのに呼べない綱吉くんの気持ちってこんなのかな(違っ

でも真面目に、渾名とかで呼んでるとたまに「あれ?この子名前なんて言うんだっけ!?」とか思いませんか。ないですか、そうですか。


さて、ようやっと「時ぞともなき」後編です。遅くなりました。すみませーん!
ちなみに前編が最初アップした時と今とでは少し文章が変わってます。が、いきおいでアップしてしまったものを読み直して修正&補正しただけですので。内容は全く変わっておりません。そして後編もきっとそうなります。たぶん今は変な文体になってるかと思いますが、後々ちょこちょこと直していくつもりですので!
本アップはホームページ上ってことで、プログの時は不親切になってしまいますがごめんなさい。

最近どうして小説を早く書けないんだろうと考えてみて、「糖分がないからだ!」という結論に至った。


++++

■時ぞともなき並盛山(後編)




 まず初めに綱吉の脳裏に思い浮かんだのは、牛柄の服を着た居候の男の子が所持する武器だった。

 その名を、十年バズーカと云う。

 撃たれた者は五分間だけ十年後の自分と入れ替わるという代物であるが、以前そのバズーカの故障で十年後の自分と入れ替わるのではなく、十年ほど若返ってしまったことがあった。

 そんな前科があるためか、綱吉は眼前に広がる不可思議な現象の根源が十年バズーカにあるのではないかと、真っ直ぐに疑ってしまったのだろう。しかしすぐにその考えを払拭した。

(いやそれはありえない。ランボいないし)

 ――そう、まずその武器の所有者がここ並盛山にいないはずなのだ。

 彼の少年は事ある事に十年バズーカを乱発するが、肝心の少年自体がこの場に存在しなければこの場所にて十年バズーカによる事故が起こるはずがない。そもそも以前バズーカの故障で起こった現象は十年前の自分と入れ替わるのではなく、撃たれた者の肉体だけが十年分若くなるといったものだった。つまり中身――精神――は変わらない。

 綱吉は考え込む意識を浮上させ、数歩前を無言で歩く少年の背を見つめた。

(雲雀さん、…じゃないよなぁ)

 少なくとも以前のようなバズーカの故障ではないはずだ。

 前を歩く少年が綱吉の知る『雲雀恭弥』ならば綱吉のことを知っているはずで、名乗るのはおかしい。服装も学ランでないし、トンファーも出てくる気配がない。なによりも彼の双肩に掛かるリュックサックは、山を登るにあたって準備されてきたものだろう。

即ちこの少年には登山に備えることができる場所、帰る家があるという事だ。

それらを踏まえた上で出た結論は、少年は肉体が若返った雲雀恭弥ではないということ。そして、やはり十年バズーカではないということである。

(同姓同名のそっくりさん……が、いてもおかしくないだろ。うん、そういう事で)

 そんな人物に出会う確率はかなり低いだろうと思いつつも、綱吉は『過去の雲雀恭弥』である可能性は消去した。

 あまり現実的ではないと思ったからだ。十年バズーカや死ぬ気弾などといったものはこの際無視である。

 綱吉は少年を『雲雀恭弥』と同姓同名のそっくりさん、で片付けることにした。

 そうして考えをまとめてしまうと、綱吉の気分は随分と晴れた。悩ませていた頭がすっきりとして、大分晴れ晴れとした表情で恭弥少年の後を追う。

 少年が通る山道の横幅は狭く、一人通るのが精々だった。でこぼこの地面を、時には四つん這いに近い体勢になりつつ通る。まさに獣道。登りと下りの斜面を繰り返しているうちに元から無かった方向感覚がさらに麻痺して、綱吉は自分が今山を下りているのか登っているのかも分からなくなった。

「……恭弥くん。帰り道、ホントにわかってる?」

 ついつい疑うように声をかけてしまう。

 前を歩く少年の足がぴたりと止まった。振り返るものと思ったが、少年は振り返らなかった。彼は前方に手を伸ばして、進むのに邪魔だった枝を手折りして取り払う。

そして何事もなかったように歩き出した少年の背中を見つめながら、綱吉は小さく息を吐き出した。置いて行かれては敵わない。歩を進めようと、疲れで重くなってきた足を持ち上げた。

 しかしその足が止まる。

綱吉はきょとんとして、不機嫌さを全面に出した少年の顔を見つめた。

「べつに付いてこなくてもイイんだけど?」

「……ごめんなさい」

 どうやら少年の機嫌を損ねてしまったらしい。

 べつに綱吉は少年の行く道に不満を抱いて溜息を吐いたのではなく、ただ少年からの返事がなかった為に吐いてしまった溜息だったのだが、彼はそうと取らなかった。

「そもそもどうして僕に付いてくるの」

 少年は不機嫌さを隠す様子もなく、剣呑とした眼差しで見据えてくる。

 その視線から逃れるように綱吉は首を竦めた。

「俺が迷子だから……です」

「ああそう。なら黙っててよ」

「………ハイ」

 少年の物腰には遠慮がない。

 言いたいことだけを言った少年はくるりと踵を返して、そのまま歩き出した。先程よりもスピードが早いのは、まだ腹が立っている証拠だろう。

 綱吉は機嫌の悪さを語る少年の背を視線から少しずらして、無意識のうちに吐こうとしていた溜息を慌てて抑える。それから重い足を引きずるようにしてのろのろと後を追った。

 けれどその足も数歩と進まぬうちに止まってしまう。

 綱吉はきょろきょろと辺りを見渡してから、不思議そうに首を傾げた。

(あれ。気のせいかな…?)

 誰かが、自分を呼んでいるような気がしたのだが。

 リボーン達が自分を探しているのではないかと、微かな期待を込めてもう一度辺りを探ってみる。耳を澄ましてみると、確かに聞こえた。そして自分の愛称を呼ぶ声が聞こえてくる。幻聴ではなかったことにホッと胸を撫で下ろしてから、綱吉はその声の主を探り当てようとした。

 自分を呼ぶ声はだんだんと近づいてくる。ツナ、ツナと切羽詰まった感がひしひしと伝わるその声に、ああ心配を掛けてしまったなと申し訳なく思う。

 綱吉は呼び声に応えようと口を開いて、しかしそのまま固まった。

「あ?」

 呼び声の主が見えたのだ。

(山本たちじゃ、ない…? ていうか、あれって)

 綱吉が立つ位置より下方、斜面に聳える木々の間から覗いた姿に愕然とする。

(――――父さん…?)

 なぜ親父がここに居るのだろう。普段、飄々とした親父があんな必死になるほど大事になってしまったのか。

 そう思ったものの、綱吉は下方に見える父親の姿に思わず眉を顰めた。違和感がある。

 父親は普段着として着用しているツナギ姿ではなかった。現代では早々目にすることの少ない和装姿である。

けれど正月の挨拶に笹川兄妹が着てきたような、真新しさや格式張った雰囲気は微塵もない。父親が着ている着物は遠目にも小綺麗とは云えず、どちらかというと綱吉の部屋に埋まっているよれよれのTシャツを思い出した。

 ちらりと見えた足下は驚いたことに草履である。

 綱吉は依然と自分を呼び続ける父親に応えることも忘れ、首を捻った。

 リボーンの仮装はいつもの事であるが、なぜ父親までその様な格好をしているのだろう――と。

 不意にその父親が綱吉のいる上方を見上げてきた。思わず近くの幹に身を隠してしまった綱吉はそろりと下方を伺い見て、またしても違和感を抱く。

(なんか……若い…?)

 父親は四十近くの歳であるはずだが、夕日に照らされて赤みが増した顔はどことなく若々しく見えた。青年といっても差し障りがないように見える。

(……どうしよう)

 父親らしき青年は己の名前を呼び続けていた。

 名乗り出るべきか、否か。

 綱吉がそうこう悩んでいるうちに、下方にいる青年の姿が見えなくなっていく。

(ああああ。どうしよう)

「なにしてるの」

「!?」

 つい頭を抱え込んでしまった綱吉は、はっとして顔を上げた。

「……あ」

 そこには仏頂面をした少年が綱吉を振り返って見下ろして立っていた。

 追ってこなくなった綱吉に気づいて戻ってきたらしい少年は、ふと先程まで綱吉が見ていた方へと視線をやる。つられるようにして、綱吉もまた下方へと視線を投げた。

 既に視線の先に父親の姿は見つけられず、綱吉の表情が僅かに陰る。

 あの青年が本当に自分の父親なのだろうかと疑問を抱きつつも、切羽詰まった様子で綱吉を捜す彼に応えられなかったことに罪悪を感じた。その一方で、彼が探していたのは自分ではないと思っている自身がいる。

 綱吉はもう見えない父親の姿から視線を戻した。

 そして綱吉よりも早く視線を戻していた少年と目が合う。じ、と黒塗りの瞳が注がれた。

真っ直ぐ逸らされない視線に怯みそうになる。だが綱吉が根を上げる前に少年の方からするりと視線が外された。ほっと胸を撫で下ろす。

「行くよ」

「あ、うん」

 呆気ないほどに踵を返した少年の後ろ姿を見て、綱吉は胸から沸き上がってきたものを誤魔化すように苦笑した。

(雲雀さんそっくりの男の子の次は、親父そっくりのお兄さんかよ……)

 なんだかなぁ、といった心境だ。

 

 時間の感覚はとっくの昔に麻痺していたが、恐らく父親のそっくりさんを見かけてからそうと経っていない。

「あ、あれは…!」

 綱吉は感極まって呟いた。声が震えていたかもしれない。

 その呟きを聞き取った少年が胡乱げに綱吉を振り返ったが、綱吉は気にしなかった。人の手が加えられた自然の階段を跳ねるようにして駆け下りる。

少年を追い越した最後の段で、綱吉は両手を挙げた。

「出口だ!」

 木々に挟まれた小さな小道の先に、コンクリートの道路が見える。

 綱吉は小躍りする感覚で最後の段を飛び降りた。そのまま走り出す。背後で少年の呼び声を聞いたが、綱吉は止まらなかった。否、止まれなかったと言うべきか。

「っぎゃあ!?」

 少年の呼び声に応えようとしたその矢先、軽やかに飛んでいた足が滑ったのだ。短い距離ながらも、綱吉は斜面を転がり落ちる。兄弟子さながらの盛大なずっこけだ。

 固いコンクリートの上に身体を打ち付けた綱吉は暫しその場に蹲り、痛みと羞恥に打ち震える。

「……………」

 沈黙が痛かった。恐らく一部始終を見ていたと思われる少年の。

 綱吉は無言で膝をつく。一応体裁を保っていた衣服は今し方の事故で泥に塗れ、挫けそうになる心を耐えている綱吉に追い打ちをかけた。

 脳裏に、牛柄の服を着た少年の口癖がよぎる。

綱吉は無言で立ち上がり、無駄と知りながらも衣服の泥を払った。それでも顔が上げられない。少年の呆れた視線が痛いような気がした。

 ちらりと伺い見るようにゆっくりと目線だけを上げる。そして思わず目を瞠った。

「え。…あれ?」

 コンクリートの地面から、もう一度山の土を踏み込んで綱吉は辺りを見渡す。

「恭弥くん?」

 いるはずだと思っていた少年が居なかった。

 最後に少年が立っていた場所の階段にまで戻るが、そこにもいない。まさか綱吉の鈍くささに呆れ果て山に戻ってしまったのかと思い至ったところで、そんな馬鹿なと一蹴する。少年は「帰る」と言ったのだ。山に戻ってどうする。

「恭弥くーん!」

 下りてきた階段を駆け上りながら、少年を呼んだ。

 しかし少年からの返事はない。続く階段の上を見据えてみるが、少年の姿は見えなかった。そこにきて、綱吉はおかしいなと気づく。

 普通に少年が階段を上って山に戻ったのならば、綱吉から少年が見えてもいいはずだ。相手はまだ小さな男の子なのだから、綱吉が駆け上れば簡単に追いつくはずなのだから。けれど現実には少年に追いつくどころか、姿さえ見えない。

 思わず横合いの樹木と雑草にまみれた道なき斜面を見つめた。

「……って、は! いやいやないだろそれは」

 つい浮かび上がった考えを慌てて打ち払う。

 綱吉は額を抑えた。そのまま俯いて大きく嘆息する。

「キョーヤくん……帰るんじゃなかったの…?」

 返る答えは、やはり無かった。

 

 

 一方で、少年は大きく目を瞠っていた。

(消えた…?)

 段差のある自然物でできた階段をゆっくりと下りていきながら、小さく小首を傾げる。

 階段を下りた先の地面は柔らかいから、浮かれている綱吉に一声注意を呼び掛けてやろうかと思った矢先だった。彼は盛大に滑り、そのまま転げ落ちていった。その転げ落ちた先、ちょうど山を抜けたところ。彼は徐々に消えていった。

 膝をついて、立ち上がって服を叩いているのは何となく見ることができたが、顔を持ち上げたその時には既に完全に見えなくなっていた。一瞬、驚いたように見開いた顔が見えたような気もするが。

 少年は綱吉が消えたコンクリートの地面に立ち、なんとなしに周りを見渡した。

 だが視界にそれらしい人物は見当たらず、彼が素早く移動したのではないと知る。

(ヒトじゃなかった?)

 自分よりも年上ながら、頼りがいといったものが欠片も感じられなかった顔を思い出しながら、ふと少年はそれに思い至った。

 御山には、人成らざる者が集まるのだそうだ。

 少年が山を遊び場にするようになってから、祖父が何度か注意を施すように告げてきた言葉。

ふむ、と思わず眉間に皺が寄る。だが不意に名前を呼ばれ、少年はそちらを振り返った。そしてそれが誰か分かるなり先程よりも深く眉間に皺を寄せ、近づいてくる老人を睨め付ける。

「なんでいるの」

「ばあさんが恭弥を迎えに行けと煩いのでな」

 老人は少年の睨みなどあっさりと受け流した。ム、と口をへの字に曲げる少年を見下ろして、老人はからかうようにうっすらと口の端を持ち上げる。

「この間みたく高木から飛び降りて骨折でもしているんじゃないかと心配なんだろうよ」

「もうそんなヘマしないよ」

「それは良かった。ばあさんの心配の種が一つ減ったの」

 からからと声を立てて老人が笑った。

 少年は老人の物言いを皮肉と取って睨め付けるが、豪胆な性質を持った老人は全く気にした様子はない。そして迎えに来たという前言は何だったのかと不思議に思うほどあっさりと踵を返した。

 むっつりと老人の背を見送りながら、少年はふと御山の方を振り返る。

 何となしに、驚いたように目を瞠って、だらしなく口を半開きしていた彼の顔を思い出した。

(間抜け面)

 胸中で呟く。

 少年は少し距離の開いた老人の後を追った。

 

FIN


●時ぞともなし・・・いつという定まった時もない。

子ヒバは5、6歳のイメージです。それからべつに「雲雀恭弥のそっくりさん」ではなく、雲雀恭弥その人です。綱吉くんもお化けとかそういったものではなく、沢田綱吉その人です。なんていうか、過去と現在が並盛山でぐっちゃになっちゃった感じで。あのまま帰れなかったら二人とも「神隠し」状態ですきっと。まあ、つまり結論を言うと『雲雀さんは小さい頃に綱吉くんと出会っていた』んだよ!ってことが書きたかっただけです!(ぶっちゃけた)本当はもっと長い話で、中学生雲雀さんも出る予定でした。それで二人とも「あれ?」ってなる予定でした。いつか書ければいいな…。
そして舞台が並盛山だったので、ちょっぴり「向かい風」要素を混ぜてしまいました。若い頃の家光パパン。行方不明のツナを捜している最中です。あのあと鬼の里に乗り込む予定です。ツナを捜してくれって頼むらしい。(只今執筆中の番外編の内容です)

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プロフィール
Author:津川宥
日々妄想しながら、ぼちぼち小説を書いてます。
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